喘息
新型コロナウイルス感染症後に咳が長引いたという経験をした方は多いのではないでしょうか。インフルエンザや新型コロナウイルス感染などのあとに咳が2-3週間続くことは多く、気管支炎が長引いたと考えてよいのですが、夜中や明け方に咳で目が覚めたり、息が苦しいと感じたりした方は気管支喘息を疑いましょう。
喘息は気道の過敏性により、発作的に気道が狭くなる病気です。咳や呼吸困難などの症状がない時にも気道には慢性的に炎症が持続しています。喘息と診断されたら発作が治まってもステロイド吸入などを継続し気道の炎症を抑えていくことが大切です。
大人になってから喘息になる原因
小児喘息の既往があり成人喘息に移行するケースもありますが、成人になって初めて発症する成人喘息もあります。中高年層の喘息患者の70~80%以上が成人後に発症したという報告もあります。成人喘息の原因はさまざまで、花粉やダニなどのアレルギーがきっかけとなることもあれば、風邪やストレスが引き金になることもあります。小児喘息はアレルギー性であることが多いのに対し、大人の喘息はアレルギー以外の原因が多いことが特徴です。
喘息の原因
喘息はアトピー型と非アトピー型の2つに分けられます。アトピー型は主に5歳未満で発症し、成人でも若年層に多く見られます。成人発症の喘息では非アトピー型が増加します。喘息の原因は複数の要因が関与しており、以下のような原因・誘因が考えられます。
- 気道の炎症
- アレルギー
- 気道の刺激
- 薬物
- 遺伝的要素
- 呼吸器感染症
- 喫煙
- 肥満
- ストレス
喘息の症状
典型的な喘息の症状は発作的に咳や痰が出て、ゼーゼーやヒューヒューという音を伴い、息苦しさを感じることです(喘息発作)。特に夜間や早朝に発作が出やすいことが特徴です。ゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)がなく咳だけが続く咳喘息もあります。ステロイド吸入が著効することが咳喘息の特徴です。治療薬の進歩により生命を脅かすことは減ってきていますが、重症の場合、気道が狭くなり、気道に痰が詰まって十分な酸素を取り込むことができなくなり、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色に変化する状態)や意識障害が現れることもあります。
喘息の治療
発作時には気管支を広げる薬やステロイド薬(吸入、内服薬、点滴など)を使用します。症状が落ち着いたら、喘息用の抗アレルギー薬やステロイドを含む吸入薬で長期のコントロールを目指すことが一般的です。症状がないと治療を中断してしまう方もいらっしゃいますが、気管支喘息は慢性的な気道の炎症ですので、長期にわたって炎症を抑えていくことが大切です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が繰り返し現れる慢性的な皮膚疾患で、赤ちゃんから大人まで幅広い年齢層に発症します。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎の原因は完全には解明されていませんが、体質的な要因と環境的な要因が複雑に影響し合っていると考えられています。皮膚・粘膜バリアの破綻や腸内細菌バランスの乱れ、ストレスは悪化の要因になります。
アトピー性皮膚炎の症状
アトピー性皮膚炎では、かゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返し現れます。湿疹は左右対称に現れることが多く、特に目の周り、首、肘、膝など刺激を受けやすい部位に現れる傾向があります。
成人の場合、以下の症状が6ヶ月以上続くとアトピー性皮膚炎と診断されます。
- 湿疹が繰り返し現れる
- 同じ症状が2ヶ月以上続く(乳幼児の場合)
アトピー性皮膚炎の治療
治療は皮膚の状態に応じて、適切な薬を選択して使用します。アトピー性皮膚炎では乾燥によって症状が悪化するため、保湿も重要な治療の一部です。以前から使用されているステロイド外用薬やタクロリムス(プロトピック)軟膏の他、JAK阻害外用薬などの新薬が続々と登場しています。ただしこれらの新薬はアトピー性皮膚炎を専門とする皮膚科でしか処方出来ないことが多いため、外用薬の処方は皮膚科にお任せし、当院では主に内科的な治療を行っていますのでご了承ください。