腸美容(腸活)について
腸美容(腸活)とは、腸内環境を整えることで、美容や肌の健康をサポートする考え方です。腸の状態が整うと、肌にハリやツヤが生まれ、ニキビや吹き出物など肌トラブルの改善にも繋がります。
一方で、腸内環境が乱れると悪玉菌が増え、有害物質が発生しやすくなります。これらの物質は血液を通じて全身に運ばれ、肌にも悪影響を与える原因になります。
また、便秘が続くと腸内に老廃物が長時間留まり、有害物質が体内に吸収されやすくなるため、腸のケアは美容面でも非常に重要です。
腸の粘膜と皮膚を構成する
栄養成分は似ている
腸も皮膚も外界と接してバリアを形成しています。ビタミンAやD、亜鉛、グルタミンなどのアミノ酸が特にバリアを形成するために重要な栄養素です。皮膚も腸もターンオーバーが早く、栄養が足りなくなると真っ先に影響を受けます。しっかり栄養を摂ると腸と皮膚はほぼ同時に改善していきます。
腸のバリア機構と
肌のバリア機構は
相互に影響し合っている
腸内細菌バランスが腸管バリアに関係しているように、皮膚の常在菌も肌のバリア機構をサポートし病原菌の侵入を防いでいます。腸内環境の乱れは皮膚のバリア機能の低下や免疫異常を引き起こし、肌荒れやアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の原因になる可能性があります。腸のカンジダ増殖や便秘などもニキビや治りにくい湿疹を引き起こすことがあります。肌のトラブルを感じたら腸内環境の改善を心がけましょう。
腸内環境とメンタル
腸は、食べたものを消化吸収し、老廃物を輩出し、免疫をコントロールし、ホルモンや神経伝達物質をつくる大切な臓器です。腸内環境が乱れると、肌荒れ、くすみ、ニキビだけでなく、免疫の低下やメンタルバランスの崩れにつながります。美しい肌と安定した心を保つには、まず腸内のバリア機構と細菌バランスを整えることが大切です。
腸美容の診療で行う検査
栄養解析検査・25OHビタミンD
尿や血液のデータをもとに、体全体の栄養バランスや代謝の状態を詳しく把握するための検査です。通常の健診よりも多くの項目を分析し、基準値や結果をより深く読み解くことで、体調不良の背景や栄養の偏りなどを見つけ出すことができます。
腸粘膜を改善するための栄養素の欠乏や腸の乱れによる代謝の問題などを解析します。
ピロリ菌・ペプシノーゲン検査
食べ物がきちんと消化吸収されないと、栄養を体内に届けることが出来ません。消化吸収の阻害や炎症の原因となるピロリ菌を検出し、胃酸や消化酵素の分泌能力を調べるための検査です。腸美容の最初にぜひチェックいただきたい検査です。
遅延型フードアレルギー検査
食事から数時間~数日後に現れる遅発性のアレルギー反応を調べるものです。腸美容において重要度の高い検査です。複数の食品にアレルギーが見つかった場合、消化管粘膜の乱れが強いリーキーガット症候群の可能性が高く腸内環境や消化管粘膜が乱れていることを示しています。遅延型フードアレルギー検査の他、腸管バリアパネル、FIT132、FIT176など複数の選択肢をご準備しております。
尿中有機酸検査(OAT)
尿中有機酸検査は、腸内の微生物の増殖や腸内の炎症、体内のエネルギー代謝や栄養状態、解毒の状態などを広範囲に調べる検査です。尿検査ですので採血が難しい方や遠方の方でも検査することが出来ます。
GI-MAP検査
腸内バランスの改善は腸美容の根幹です。GI-MAP検査は便を採取し、腸内微生物の遺伝子を検出する検査です。病原菌、ピロリ菌、常在菌、日和見菌ウイルス、酵母真菌、寄生虫などを感度よく検出し腸内細菌バランスの改善に役立てます。腸の消化能力や有害な発酵物質、腸の免疫状態や炎症などについても多くの情報を与えてくれます。
オリゴスキャン
オリゴスキャン(OligoScan)は、手のひらに光をあてて組織や血管壁に存在するミネラルを測定する機器です。血液検査だけでは検出できない体内のミネラルバランスや有害金属の蓄積状況を短時間で痛みもなく調べることが出来ます。
消化管の改善には亜鉛などのミネラル摂取が大切です。栄養摂取効果が遅い場合には、有害重金属が改善を邪魔していることがあります。有害重金属蓄積とカンジダ増殖にも関連が認められます。
腸美容の治療(腸活)
グルテンフリー、カゼインフリーなどの食事療法
グルテン(小麦製品)は腸粘膜を刺激し、炎症を引き起こすことがあります。カゼイン(乳製品)は消化に負担がかかり、腸内の悪玉菌を増やす要因になります。精製された砂糖も腸内のカンジダ菌や悪玉菌を増殖させ、免疫バランスを崩します。
当院では、必要に応じてこれらの除去食を一時的に導入し腸の回復をサポートします。無理な制限ではなく、おいしく続けられる代替食・レシピ提案をいたします。
カンジダコントロール・デトックス治療
カンジダが壊れる時に起きるダイオフを防ぐため、あらかじめカンジダを減らす食事療法を徹底します。腸カンジダに対しては増殖の程度や症状に応じて、薬やハーブによる治療を検討します。
その他、消化能力を低下させるピロリ菌の除菌や、カンジダ増殖に関係する重金属のデトックス治療などを提案してまいります。
消化管粘膜修復のメディカル処方
リーキーガット症候群とは、腸の粘膜バリアが破綻し、有害物質や未消化のたんぱく質が血流に漏れ出してしまう状態です。肌トラブル、慢性疲労、アレルギー、自己免疫疾患などの原因となることがあります。
当院では、腸粘膜バリアの再生をする栄養素(L-グルタミン、ビタミンA、D、亜鉛など)や炎症抑制の栄養素、有用腸内細菌などによる腸内フローラの調整、食事内容の見直しと除去食プログラムなどを組み合わせた腸粘膜修復プログラムを提供しています。
発酵食品・プロバイオティクス・食物繊維の活用
腸内環境を整えるためには、善玉菌を増やす食品とそのエサとなる栄養素の摂取が欠かせません。発酵食品(味噌、ぬか漬けなど)、食物繊維(水溶性、不溶性)、プロバイオティクス製品などを体質に合わせてご提案します。